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交通事故の治療費が打ち切られる? ── 10対0の被害事故でも起こる”突然の打ち切り”と、正しい対処法

交通事故に遭い、過失が「10対0」の”完全な被害者”であっても、任意保険会社から治療費の仮払いが急に打ち切られる──。これは決して珍しいことではありません。

今回ご相談いただいた方も、事故から約4ヶ月が経過したタイミングで、加害者側の保険会社から「12月末で治療費を打ち切ります」と連絡を受け、大きな不安を抱えていました。

しかし、治療が必要である以上、「機械的な打ち切り」に従う義務はありません。

正しいステップを踏むことで、治療を継続し、後遺障害の認定につながる準備も進めることができます。

なぜ保険会社は治療費を"機械的に"打ち切るのか

任意保険会社には、事故の状況・治療期間などに応じた内部基準があります。

多くのむち打ち等の事故では、約4~5ヶ月で治療終了 という基準が設けられており、これを超えると「症状が固定した」とみなしてしまうことが一般的です。

しかし、

  • 痛みが残っている
  • 日常生活に支障がある
  • 医師が「治療継続が必要」と考えている といったケースでは、当然ながら治療延長の余地があります。

治療の必要性が医学的に認められる限り、保険会社の都合で一方的に打ち切ることはできません。

治療継続のカギは「診断書」

もっとも重要なのは、医師が”〇月まで治療継続が必要”と明記した診断書を作成してくれるかどうか。

保険会社は医師の判断に逆らえません。

そのため、診断書があるだけで治療期間が延びるケースは非常に多くあります。

▼ ポイント

  • 「◯月まで治療継続が必要」との記載が望ましい
  • 整骨院だけの通院では認められにくい
  • 必ず整形外科医に診てもらい、医学的根拠をつけてもらう

「保険会社が勝手に打ち切ったから治療できない」と思う必要はありません。

後遺障害認定は"非常に厳しい"。だからこそ準備が必要

相談者の方は、将来的な後遺障害認定(できれば12級)の取得も希望されていました。

しかし、後遺障害認定は決して容易ではありません。

  • 12級の認定率:10件中2~3件程度
  • 14級でも2~3割程度

そして認定の決め手は医師が書く後遺障害診断書の内容にあります。

実務では、

  • 「頑固な神経症状が残存」
  • 「画像所見との整合性」
  • 「他覚的所見」 が極めて重視されます。

そのため、後遺障害に理解がある整形外科医に診てもらうことが重要です。

行政書士と弁護士の違い

交通事故では「行政書士に依頼して後遺障害認定を取る」というケースもありますが、大きな違いがあります。

項 目 弁護士 行政書士
保険会社との交渉
弁護士特約
示談交渉
診断書の戦略的助言 △(限界がある)

書面では、弁護士特約があれば実質負担ゼロで依頼できます。

「今すぐできる」最善の3ステップ

今回のご相談者にも、次の3つをお勧めしました。

1.医師に診断書を依頼する(最優先)

「治療継続が必要」と書いてもらうだけで、状況は大きく変わります。

2.整骨院に”後払い”が可能か相談する

保険会社がもし打ち切った場合でも、後遺障害の結果が出るまで支払いを待ってもらえる場合があります。

3.弁護士特約を使い、治療継続の交渉を任せる

専門家が入るだけで、保険会社の態度が変わることは珍しくありません。後遺障害に向けた準備もスムーズになります。

被害者は泣き寝入りする必要はありません

「保険会社が打ち切りと言ったから終わり」──これは誤解です。

医学的に必要であれば治療は続けられるし、後遺障害を適切に申請すれば、正当な賠償を受けられます。

そして、弁護士特約を使えば費用の心配なく専門家に任せることもできます。

交通事故の対応は、最初の判断ミスがその後の賠償額を大きく左右する分野です。

同じ悩みを抱えている方は、早めに専門家に相談していただければと思います。