医療機関の開設や医療法人の設立にあたって、資金や事務運営を支援する一般企業と提携するケースは少なくありません。医師としては診療に専念したいという思いから、経営面の実務を企業側に任せる形をとることもあるでしょう。
しかしその一方で、“名義だけを貸して経営に関与しない”というスタンスを取ってしまうと、後々深刻なトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
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医療機関の開設や医療法人の設立にあたって、資金や事務運営を支援する一般企業と提携するケースは少なくありません。医師としては診療に専念したいという思いから、経営面の実務を企業側に任せる形をとることもあるでしょう。
しかしその一方で、“名義だけを貸して経営に関与しない”というスタンスを取ってしまうと、後々深刻なトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
まず、医療機関の理事長や管理医師として名義を貸すということは、法的にも社会的にも重大な責任を伴う行為です。
仮に自分の知らないところで資金の流用や契約の締結がなされていたとしても、外部から見れば名義人である医師がその責任を問われる可能性が高いのです。
また、企業側が経営判断や資金移動を主導し、医師が意思決定から外されているような状態では、名義人である医師が経営実態を把握できないままトラブルの責任だけを負わされるリスクがあります。
このようなリスクを回避するためには、医師側としても次の点に十分注意を払うことが必要です。
医療機関は営利性のある事業であると同時に、公共性の高いインフラでもあります。
医師が経営の中核に関与し続けることは、医療の質と安全を守るうえでも欠かせない視点です。
医師としての本業に集中するためにも、名義や立場だけを提供するのではなく、経営にも一定の関心と関与を保つことが、結果的に自らと患者を守ることにつながります。