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交通事故で弁護士は本当に必要?

「交通事故の相談は無料です」「着手金はいただきません」といった広告を見かけることがありますが、これは弁護士費用特約(自動車保険に付帯する特約)を使う場合、費用が保険から出るため、当然の対応といえます。

とはいえ、弁護士の側からすると、交通事故の案件はすぐには対応しづらい面もあるのが実情です。

治療中心の段階では、まずは様子を見ることが大切

交通事故直後のよくある相談は、「保険会社が治療費を打ち切ろうとしている」「そもそも治療費を出してくれない」といったものです。

しかしこの段階では、弁護士が法的に介入しても効果が出にくいのが現実です。

多くの場合、被害者の方が治療費を一時的に立て替え、治療が終わった後に慰謝料などの示談交渉に入る時点で弁護士に相談するのが妥当です。

「少しでも早く慰謝料が欲しい」という場合、弁護士を入れることで話が複雑になり、逆に解決が遅れることもあります。

交通事故で弁護士が最も力を発揮できるのは、治療が終わり、保険会社から慰謝料の提示があったタイミングです。

この段階で、弁護士が交渉に入ることで、慰謝料の金額が大きく変わることもあります。

特に、後遺障害が残るかどうかが微妙なケースや、後遺障害が認められても軽い等級(たとえば14級)にとどまる場合は、治療が終わるまでは弁護士に依頼せず、相談だけで十分なことが多いです。

なお、弁護士費用特約には相談料も10万円までカバーされるため、数回の相談だけで解決できるケースも少なくありません。

生活に大きな影響が出る事故では、専門家の早期介入が重要

もちろん、どんな交通事故でも弁護士が不要というわけではありません。

  • 意識不明で搬送されるような重大事故
  • 車両が大破するような衝突
  • 手術が必要な重傷を負ったケース

このような事故では、早期に弁護士が関与すべきです。

なぜなら、事故後にどんな医療を受けるべきか、どの病院を選ぶか、手術が本当に必要か――といった医療の選択が、その後の補償や後遺障害認定に大きく関わってくるからです。

医療の専門知識を持つ弁護士だからできるサポート

弊所のように医師資格を持つ弁護士が在籍する事務所では、重傷事故の被害者の方に対し、医療面も含めた総合的なサポートを行っています。

故直後には、以下のような対応が可能です。

  1. 病院へ駆けつけて治療方針について助言する
  2. 保険会社とのやり取りを代行する
  3. 医療記録の取得や後遺障害申請を見据えた対応をとる

ご家族が不安の中で付き添われるなか、法的にも医学的にも支えとなる存在として、私たちが寄り添います。

一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください

交通事故のすべてに弁護士が必要とは限りません。

軽いケガの場合は、治療が終わったあとに相談すれば足りるケースが多く、まずは保険会法とのやり取りを進めていただくのがよいでしょう。

一方で、重傷事故の場合は早期の弁護士介入が、将来の回復や補償に大きく影響します。

とくに医療面の判断が重要な事故では、医療に詳しい弁護士に早めに相談することが、被害者本人やご家族を守る第一歩となります。