弊所が取り扱う離婚事件のうち、7〜8割は医師または歯科医師に関係する案件です。
ご夫婦ともに医療従事者というケースもありますが、典型的なのは「開業医の夫」と「専業主婦やパート勤務の妻」という構図です。
医師の奥様の交友関係は医師同士に限られることが多く、顧問先の奥様からのご紹介などでご相談に来られる方も少なくありません。実際、「医師の妻からの離婚事件の依頼」も多いです。このような医師・歯科医師の離婚においては、感情に流されるのではなく、準備と計画に基づいた戦略的なアプローチが不可欠です。
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弊所が取り扱う離婚事件のうち、7〜8割は医師または歯科医師に関係する案件です。
ご夫婦ともに医療従事者というケースもありますが、典型的なのは「開業医の夫」と「専業主婦やパート勤務の妻」という構図です。
医師の奥様の交友関係は医師同士に限られることが多く、顧問先の奥様からのご紹介などでご相談に来られる方も少なくありません。実際、「医師の妻からの離婚事件の依頼」も多いです。このような医師・歯科医師の離婚においては、感情に流されるのではなく、準備と計画に基づいた戦略的なアプローチが不可欠です。
離婚には感情だけでなく、法的・経済的な戦略が不可欠です。
特に医師・歯科医師といった高収入の職業においては、婚姻費用、養育費、財産分与などが複雑になりがちです。
たとえば、婚姻費用。
夫婦の年収がそれぞれ2,000万円以下であれば、裁判所の算定表を用いて機械的に決まります。
しかし、開業医の年収はそれをはるかに超えることが多く、算定表の適用外となるため、実際の生活レベルや支出、教育費などを踏まえて調停や裁判で個別に主張していく必要があります。
医師の家庭では、子どもが私立の医学部・歯学部に進学していることも多く、年間数百万円単位の学費が発生します。
こうした費用についても、婚姻費用や養育費とは別にしっかり請求しておく必要があります。
離婚後に支払わなくなるケースも多いため、事前に取り決めておくことが非常に重要です。
財産分与においては、そもそも夫の所得や資産内容を把握していないという奥様も少なくありません。
「不貞の証拠」には意識が向いていても、通帳、売上資料、不動産関係書類、医療法人の決算資料など、財産を裏付ける証拠がないまま調停を起こしてしまう方も見受けられます。
離婚を考え始めた時点で、感情よりもまず「証拠の確保」が最優先です。
弁護士への早期相談によって、準備の質がまったく変わってきます。
もちろん、開業医のご主人側にも事前に講じている防衛策があります。
たとえば:
このような医療法人法を活用した事前対策を行っている方もいます。
ただし、こうした対応も「正しい範囲」で行わないと、「財産隠し」や「違法な資産移転」として無効になることもあるため、専門的なアドバイスが不可欠です。
また、医師の夫からのモラルハラスメントや、離婚を切り出した直後に「役員解任」される、「学費の支払いを急に止められる」といった報復的行動に出られるケースも少なくありません。
子どもが父親に懐いていない場合は、面会交流の希望すら出されないこともあります。
こうした事態を想定し、冷静に対応を考える必要があります。
医師・歯科医師の離婚率は高いといわれますが、特に開業医は経済的・精神的なストレスも多く、さらに離婚率が高い傾向にあります。
無理な関係を続けるより、早期に離婚し、新たな人生を歩むことが双方にとってプラスになることもあります。
離婚は「揉めごと」ではなく、「人生の再設計」です。
特に医療系のご家庭においては、感情だけで進めず、証拠・法的制度・経済的視点をバランスよく取り入れることが何よりも重要です。
「思い立ったらすぐ調停」ではなく、
「思い立ったらまず弁護士に相談」——これが、離婚の明暗を分けます。