Services 取扱い業務

離婚・相続・資産管理

医師・歯科医師、医療法人関係者が
直面する法的課題に対応します。

医療従事者、とくに開業医や医療法人に関与する方は、財産構成・勤務形態・家族関係に特殊性があるため、離婚・相続・資産管理の各局面で一般家庭とは異なる法的リスクや論点が発生します。

MIA法律事務所では、医師資格を持つ弁護士が在籍し、医療現場と法律の双方に精通した体制で、実務的な支援を行っています。

離婚

医療職(医師・歯科医師)・
医療法人関係者の
事情に即した整理

離婚にあたっては、財産分与・婚姻費用・親権・養育費・などが主要な論点となりますが、特に医師・歯科医師や医師・歯科医師の配偶者の場合、次のような点が重要な検討事項になります。

  • 多忙の中、配偶者による
    子連れ別居の対応から
    面会交流の実施
  • 年収が高額な場合の
    養育費・婚姻費用の算定
  • 法人や個人の営業用財産が
    分与対象になるかの検討
  • 自費診療・自由診療における
    実収入の算出
  • 医療機器導入や開業資金に対する
    親族からの支援内容とその評価
  • 双方の親族が社員・理事として
    経営に関与している
    医療法人の整理・清算対応
  • 医療法人の資産価値の評価
    (法務・財務だけでなく有資格者の
    労務デューデリがポイント)

また、医療法人の形態により、財産分与での取扱いが大きく変わります。

「持分なし」医療法人の場合

法的には「持分がない」とされるため、離婚時に財産分与の対象外となることがある。実質的には法人からの退職金・役員報酬などで収益を得ていても、分与に反映されないケースも。

「持分あり」医療法人の場合

名義がある以上、法人持分が財産分与対象となり、評価額が争点に。診療報酬や不動産を多く保有する法人では、分与額が高額になるおそれがある。

相続

医療法人をめぐる
承継と争いの予防

医療法人が相続財産に含まれる場合、その評価と承継方法をどう整理するかが、大きな課題となります。

「持分なし」医療法人の場合

持分がないため、法人自体は相続財産に含まれず、承継手続きもスムーズ。ただし、後継者の選定や理事構成の整備は早期に検討が必要。また、個人名義の不動産・医療機器が法人と混在している場合には整理が必要となる。

「持分あり」医療法人の場合

たとえば、父親が医療法人を持分ありで設立し、長男が後継として診療を継いだケース。
相続発生時に、他の兄弟姉妹が遺留分を請求し、高額な持分評価額の支払いを後継者が求められる。
このような状況では、承継者が資金負担に耐えきれず、法人の運営や継続に支障をきたす例もある。

※実際に、法人承継後に兄弟間で訴訟に発展した例も確認されています(実名は控えます)。

その他、以下のような対応も求められます。

  • 遺言書作成
  • 遺産分割協議書の作成
    (とくに非後継相続人から)
  • 法人不動産・口座の名義と帰属の整理
  • 相続税申告のための法人評価
    (税理士と連携)

資産管理・法人承継

将来を見据えた備え

  • 子どもや配偶者への
    事業承継をどう進めるか
  • 認知症・事故など
    将来のリスクに備えた管理体制の構築
  • 法人持分や
    不動産の生前贈与・遺言の活用
  • 相続税対策を踏まえた
    法人評価と株式整理

たとえば

  • 70代の開業医が法人持分あり。後継予定の子は医師だが、他の兄弟姉妹との不公平感を懸念。→ 遺言+代償分割+生命保険を組み合わせ、将来的な争いを回避する設計を構築。
  • 持分なし法人を経営する歯科医師が認知症に備え、将来の財産管理を委ねる「任意後見契約」や「家族信託」を準備。→ 万一に備え、診療継続と財産保全の両立を図る。

いずれも、形式的に制度を導入するだけでは不十分で、家族関係・資産構成・法人運営の実態を踏まえた設計が求められます。

医療法人が関わる
財産評価と分割の難しさ

離婚や相続において、医療法人が関与する場合財産の把握・評価・分割が極めて複雑になります。一般の会社とは異なり、医療法人には次のような特有の構造があります。

  • 医療法人の資産の多くは
    「人」に依存している
    (勤務医・スタッフのスキルや継続性など)
  • 法人の収益は、
    外部環境よりも
    内部の運営体制に左右される
  • 財産のうち建物や機器などの
    物理資産の割合が低く、
    人的体制・組織文化
    など定量化しづらい価値が大きい
  • 売却も容易ではなく、
    第三者に承継させるには有資格者や
    医師の確保が前提

このため、離婚や相続において持分の評価を行う際には、帳簿上の数字や直近の収支だけでは不十分です。

たとえば

  • 持分あり医療法人を相続する際に、後継者ではない相続人から高額な遺留分請求がされたケース。→ 法人内部の人的体制や依存関係、実質的継続可能性をもとに評価額を調整。
  • 離婚に際し、医師の配偶者から法人持分の分与請求がなされたが、機械的に時価評価をされそうになった。→ 実質的価値を丁寧に裏付け、人的要素による依存性や代表者スキルの不可分性を説明して評価額を再検討。

財産評価は「調整可能」であるがゆえに
専門性が問われる

医療法人の価値は、財務諸表に表れない要素に大きく左右されます。

たとえば

  • 誰が勤務しているか
  • 体制を引き継ぐ医師・スタッフがいるか
  • 地域医療への定着度、患者数、口コミや紹介経路の安定性
  • 事業収益が継続的な事業収益性の有無に関する判断といえるかの判断

これらを考慮せずに評価を行うと、不当に高く評価されたり、過小評価されたりするおそれがあります。
そのため、弁護士としては単なる数値ではなく、運営実態や人的基盤を踏まえた評価根拠を持って交渉・主張する必要があります。

当事務所の対応力

MIA法律事務所では、医療法人に関する多数の法務対応実績(設立、承継、M&A、運営支援)を基盤に、こうした複雑な評価・交渉局面でも、法的な論拠と現場理解をもって対応可能です。

  • 財産分与や遺産分割において
    医療法人の持分評価を
    調整し納得を得るための構成づくり
  • 資産内容の分析と、
    人的要素を加味した補正モデルの提示
  • 医療法人の継続に影響を与える
    離職が容易な有資格者の動向を踏まえた、
    医師やスタッフへのヒアリングの実施
  • 有資格者の労務デューデリを無視したなど、
    誤った医療法人価値の評価に対する
    対抗する意見書手配や専門的立論の構築

このように、医療法人が絡む財産問題では、制度だけでなく、医療実務と経営構造に通じた法務スキルが不可欠です。

※パートナー弁護士による直接対応は、原則として顧問契約先を対象としていますが、ご紹介や事案内容によっては個別対応も可能です。 詳細はお問い合わせください。

忙しくても判断できる、
実務ベースの支援体制

  • 平日は診療が詰まっていて時間が取れない
  • 書類を読む余裕がない
  • 家族の話をゆっくりする時間がない

こうした状況を前提に、夜間・休日の面談やオンライン対応、ポイントを絞った資料整理・説明など、医療従事者のライフスタイルに合わせた支援体制を構築しております。