Column

医師でも気づけなかった、熱中症の「小さなサイン」

先日、弊所医師弁護士の鈴木が、ゴルフのラウンド中に熱中症になりかけるという経験をいたしました。

医師として熱中症患者を診察する機会は少なくありません。また、暑熱環境下でのスポーツイベントにおいて、熱中症患者の診療にあたることもあります。そのため、自分自身が熱中症になりかけるとは正直あまり考えておりませんでした。

しかし、実際に体験してみると、熱中症は決して特別な人だけがなるものではなく、誰にでも起こり得ることを改めて実感しました。

ゴルフ場で起きた、「いつもと違う」体調の変化

当日は非常に暑い日でした。

プレー前から不思議なことにスポーツドリンクや炭酸飲料が飲みたくなり、売店の場所を探していました。しかし、その時点では体調不良という自覚はなく、「今日は少し暑いからだろう」程度にしか考えていませんでした。

そのままラウンドを開始しましたが、数ホール後、グリーン上で突然血の気が引くような感覚がありました。

倒れるほどではありません。

会話もできますし、歩くこともできます。

しかし、自分でもはっきりと「いつもと違う」と感じる状態でした。

そして次のホールでは、足に少し力が入りにくくなりました。

普通に立つこともできますし、歩行も可能です。しかし、医師としての経験上、「これは続けるべきではない」と判断し、その場でプレーを中断しました。

幸いにもすぐに休養を取り、水分と電解質を補給することができました。その後は徐々に回復し、尿量も回復し、食欲も戻りました。

結果として大事には至りませんでしたが、振り返ると身体はもっと早い段階からサインを出していたように思います。

熱中症の前には、身体が出している警告サイン

熱中症というと、突然倒れたり意識を失ったりする病気という印象を持たれている方も少なくありません。しかし実際には、その前段階としてさまざまな警告サインが現れます。

  • 何となく身体が重い
  • 普段より飲み物が欲しくなる
  • 疲れやすい
  • 集中力が続かない
  • 少しふらつく
  • 力が入りにくい

こうした症状は、患者様からもよく聞く訴えです。

しかし多くの方は、

「気のせいだろう」

「あと少しだから大丈夫」

「せっかく来たのだから」

と考え、そのまま活動を続けてしまいます。

熱中症で重症化する方の中には、実はこの段階で身体からの警告を無視してしまっているケースが少なくありません。

「自分は大丈夫」と思わないために

今回、自分自身が患者側の立場を経験したことで、患者様がよくおっしゃる

「何となくおかしかったんです」

という言葉の意味を改めて理解することができました。

熱中症は体力がない人だけの病気ではありません。

若い方でもなります。

健康な方でもなります。

日頃から運動している方でもなります。

そして医師でもなります。

だからこそ、「自分は大丈夫」と思わないことが重要です。

水分補給はもちろん大切ですが、それ以上に重要なのは、自分の身体が発する小さなサインを見逃さないことです。

暑い日の運動やゴルフ、屋外活動の際には、ぜひご自身の体調変化にも注意を払っていただきたいと思います。

今回の経験は、医師としても非常に学ぶことの多い貴重な体験となりました。