Column

相続でやってはいけない「うっかり行為」

― 家の片付けが”相続したこと”になることもあります ―

相続の相談を受けていると、非常に多いのが次のようなケースです。「実家や子どものアパートを片付けた際に、冷蔵庫や洗濯機を売却してしまった」「いらない物をゴミとして処分してしまった」——一見すると、単なる整理や後片付けにすぎません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

「承認行為」とは何か——そのつもりがなくても放棄できなくなる

相続には「相続放棄」という制度がありますが、一度でも相続人が”相続財産を処分した”と評価される行為をすると、原則として相続を承認した(=放棄できない)と扱われる可能性があります。これを「承認行為」といいます。

どこからがアウトになるのか、ポイントはシンプルです。

  • 売却する(お金に換える)
  • 廃棄する(価値判断をして処分する)

このあたりは、基本的に「財産を自分の判断で処分した」と評価されやすく、承認行為に該当するリスクがあります。

「仕方なかった」は通るのか——現場の事情と法的評価

もっとも、現場では事情があります。

  • 急いで退去しなければならない
  • 保管する場所がない
  • 明らかに価値のない物ばかり

こういったケースでは、「やむを得ない保存行為」だったと評価される余地もあります。つまり、アウトとセーフの境界はかなり曖昧です。

被害を広げないために——処分後の正しい動き方

この問題で重要なのは「やってしまった後」です。次の対応で結果が変わります。

  • これ以上の処分は止める
  • 売却金は使わず保管する
  • 処分した内容・経緯を記録する
  • 緊急性があった事情を整理する

そして何より、相続放棄するかどうかを早めに決めることが極めて重要です。

「何もしなければ大丈夫」は危険——迷ったら早めに相談を

相続は「何もしなければいい」と思われがちですが、実際には”うっかりやった行為”で取り返しがつかなくなることもあります。

特に「片付け」は最も危険な行為の一つです。

相続の初動対応は、その後の選択肢を大きく左右します。迷った段階で一度専門家に相談することを強くおすすめします。