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築60年・借地権付き土地の減価償却は?

「古い建物を買うと節税になる」と聞いたことがある方も多いと思います。

実際、築年数の経った中古建物は、残存耐用年数が短く設定できるため、短期間で減価償却を取ることができます。

たとえば築60年の建物の場合、税法上の耐用年数をすでに超えているため、建物部分は最短で2年償却が可能です。つまり、建物価格を2年間で全額経費にできる――これは実務上、極めて大きな節税効果を生みます。

では、「借地権付き土地」の場合はどうなるのでしょうか。

土地と建物、それぞれの減価償却ルール

まず前提として、土地は減価償却できません。価値が時間の経過で減少するものではないからです。

したがって、購入金額のうち土地部分はそのまま資産として残ります。

 

一方で、建物部分は中古資産として耐用年数を短縮して償却することが可能です。

築60年の木造やRC造なら、いずれも2年償却になります。

定期借地権と普通借地権で変わる償却ルール

次に、土地の利用権である「借地権」についてです。借地権も無形固定資産として扱われますが、ポイントは契約期間の定めがあるかどうかです。

  • 定期借地権(例えば30年契約)

契約期間(30年など)で均等償却が可能

  • 普通借地権(更新あり)
更新が前提のため、期間を確定できず原則は償却不可
つまり、同じ「借地権付き土地」でも契約の種類によって、償却できるかどうかがまったく異なります。

節税効果を得るために押さえるべきポイント

築古の借地権付き建物を購入し、建物部分を2年で償却して一気に経費化する、という手法はよく見られます。

土地や借地権部分は償却できませんが、建物部分をうまく区分できれば短期での節税効果が期待できます。

ただし、過度な節税目的の購入は税務調査で否認されるリスクもあるため、建物と土地の評価区分、契約内容、利用実態を丁寧に整理しておくことが重要です。

節税効果を得るために押さえるべきこと

借地権付き築古物件の減価償却について、重要なポイントを整理します。

  1. 土地は非償却
  2. 建物は築年数によって短期償却可能(築60年なら2年)
  3. 借地権は定期借地なら償却可、普通借地は原則不可

このように、同じ「借地権付き土地」でも契約の種類によって税務上の扱いは大きく異なります。

実務では、建物と土地の評価区分や契約内容を明確にすることが、節税効果を得るためにもリスクを回避するためにも重要です。

 

借地権付き物件の購入を検討される際には、これらのポイントを踏まえて、税理士や弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。