Case Study

管理医師の不当解雇に対し、約3,000万円の解決金を獲得した事例

― 医療法人の構造理解と医師の業務実態への深い洞察がカギ ―

本件は、ある医療法人に勤務していた管理医師が、法人側から勤務日数を段階的に削減され、最終的には事実上の解雇に至ったという事案です。
当該医師は、医療法人の理事にも就任しており、年俸制で約1,500万円の報酬を受けていました。しかし法人側は、
「理事という立場である以上、労働法上の保護は及ばない」
と主張し、一切の退職金や解決金の支払いを拒否。極めて高圧的な対応を取りました。

弊所のアプローチ

弊所は、医師の代理人として、次のようなポイントに着目し、事実と法理の両面から法人の主張を突き崩しました。

  1. 医療法人における理事と労働契約の両立可能性
    実際の勤務実態に照らせば、法人との間に明確な雇用関係があったことは明白であり、形式的な「理事」名目だけで労働者性を否定するのは法的に無理があると主張。
  2. 管理医師としての役割と職務内容の具体的検証
    一般医師とは異なる責任を負っていた点(診療管理、職員指導、行政対応など)を詳細に整理。医療現場における高い職務遂行義務があったことを明示。
  3. 勤務日削減の経緯と不利益変更の蓄積
    徐々に勤務日数を減らすことで、医師に辞職を選ばせる意図があったと評価。合理性のない不利益変更の積み重ねは、事実上の解雇に該当すると主張。
  4. 医療法人特有の「名ばかり理事」構造への対応
    医療法人では、理事の多くが実質的な経営判断に関与しておらず、形式上の役職にすぎないことも少なくありません。本件でも、当該医師は法人の意思決定に関与しておらず、実態としては一労働者にすぎなかったことを立証しました。

法人側の「習性」を突いた交渉

医療法人においては、「理事である以上、退職金も労働者保護もない」とする誤った理解に基づいて、医師に対する契約解除や待遇切り下げを当然視するケースが散見されます。
本件もまさにその典型例であり、法人側は、医師が泣き寝入りすることを当然視していました。

しかし弊所は、医療法人という組織構造の“弱点”――すなわち「法的構造と実務運用の乖離」「労働関係と役員関係の混同」「人事決定の場当たり性」など――を的確に突き、粘り強い交渉を重ねた結果、
約3,000万円に上る解決金(未払い賃金・慰謝料・退職補償等を含む)を獲得。
医師側にとって極めて有利な形での和解を実現しました。

本件が示す、弊所の強み

本件は、単なる労働トラブルではなく、
• 医師という専門職特有の職務実態
• 医療法人の制度構造
• 管理医師という曖昧な立場の法的整理
• 病院経営側の心理と交渉スタンスの読み解き

といった、医療と法律の双方の高度な知見がなければ解決に至らなかった事例です。

弊所には、医師免許を持つ弁護士を含め、医療現場のリアルを熟知した専門チームが在籍しており、今回のような複雑かつ対立的な医療法人内紛争にも、理論と実務の両面から対応することが可能です。

不当な解雇に対する弊所の実績と姿勢

本件のように、医療法人における管理医師や理事等の立場にある医師が、突然の勤務条件の変更や実質的な解雇に直面するケースは、決して珍しくありません。
実際、弊所ではこれまでにも、
• 勤務日数や報酬を一方的に減らされた事案
• 法人内の内紛を背景に退任を迫られたケース
• 契約期間中に理由なく契約を打ち切られた事例
など、多数の不当解雇・退任案件を手がけてまいりました。

それらの案件においても、解雇の経緯や職務実態を丹念に整理・主張した上で、少なくとも年俸相当分(場合によってはそれ以上)の解決金を獲得することを一つの目安とし、複数の成功例を積み重ねております。

特に、
• 医師が「理事だから」「委任契約だから」という理由で軽視されがちな労働者性
• 医療法人側による内部手続きの不備や人事権の乱用
• 医療現場特有の就業実態と法人統治の乖離

といった構造的な問題を丁寧に掘り下げ、相手方との交渉や訴訟対応を通じて、実質的な救済に繋げていく姿勢が、弊所の最大の強みです。