医師と話をしていると、医療訴訟の判決について、次のような相談や感想を聞くことがあります。
「なぜこの事案で病院側が負けるのか分からない」
「医学的には明らかにおかしい判断ではないか」
「この判決は、実際の医療現場を分かっていないのではないか」
「裁判官は医療を理解しているのか」
医師から見れば、医療訴訟の判決の中には、違和感を覚えるものがあるようです。
私自身、医師として医療現場を経験し、その後に弁護士として医療訴訟に関与している立場から、医師がそのように感じる場面があることは理解できます。
医療現場の実感からすれば、この判断は厳しすぎるのではないか。
この病態でその結果を回避することは困難だったのではないか。
診療録の一部だけを切り取って評価しているのではないか。
後から振り返った理想論になっているのではないか。
そのように感じられる判決は、確かに存在します。
しかし、不可解な医療判決が生まれる理由は、単に裁判官が医療を知らないからという一言では片付けられません。
もちろん、裁判官は医師ではありません。
医学的知識には限界があります。
医療現場の実情を十分に理解していないこともあります。