医療紛争では、すべての事件を徹底的に争えばよいというものではありません。
もちろん、医師や病院に法的責任がないにもかかわらず、不当な請求を受けている場合には、毅然と争う必要があります。
医療は結果責任ではありません。
悪い結果が生じたからといって、直ちに医師や病院が法的責任を負うわけではありません。
医療には不確実性があります。
患者の病態は一人一人異なります。
同じ治療を行っても、結果が異なることはあります。
合併症が発生することもあります。
救命を尽くしても、救えないこともあります。
したがって、患者側から損害賠償請求を受けた場合であっても、医師側に過失がないのであれば、安易に責任を認めるべきではありません。
医師側に責任がない事案で、安易に和解してしまうことは、当該医師の名誉や医療機関の信用を傷つけるだけでなく、将来の医療にも悪影響を与える可能性があります。
その意味で、争うべき医療訴訟は、きちんと争うべきです。
しかし一方で、医療記録、診療経過、検査結果、説明内容、当時の標準的医療水準などを検討すると、医師側の責任が認められる可能性が高い事件もあります。
そのような事件について、形式的に否認を続け、調停や訴訟を長期化させることが、本当に医師や病院の利益になるのでしょうか。
私は、この点について強い疑問を持っています。