Column

「このような画像を晒されています」――弁護士が最初に確認すべきこと

近年、逮捕報道や事件報道のスクリーンショットがSNS上で拡散され、「このような画像を晒されています」という相談を受けることが増えています。

しかし、この種の相談で最も重要なのは、感情的に「削除できます」「名誉毀損です」と判断しないことです。

まずは冷静に事実関係を整理する必要があります。

報道と拡散——同じ画像でも法的評価は異なる

例えば、テレビ局が事件報道として容疑者の氏名や顔写真を報じた場合、その報道自体は公共性・公益性・真実性の観点から適法と評価されることが少なくありません。

一方で、その報道内容を第三者がSNSで拡散した場合でも、次のような行為は別途権利侵害となる可能性があります。

  • 誹謗中傷を加える
  • 関係のない事実を付加する
  • 執拗に繰り返し投稿する
  • 不起訴後も延々と晒し続ける

そのため、「テレビで流れた画像だから問題ない」とも、「顔写真が載っているから違法だ」とも直ちには言えません。

判断の前に——押さえておくべき4つの確認事項

相談を受けた際、まず取得すべきなのは次の資料です。

1 掲載先のURL

単なるスクリーンショットだけでは足りません。X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、Facebook、YouTube、掲示板など、実際の掲載先を確認する必要があります。

2 投稿全体

画像だけではなく、投稿本文・コメント・引用投稿・リプライまで確認します。名誉毀損は画像ではなく文章部分によって成立することも多いためです。

3 拡散状況

閲覧数・リポスト数・フォロワー数・コメント数なども重要な判断材料になります。

4 刑事事件の結果

特に重要なのが、不起訴・起訴猶予・略式命令・執行猶予付き判決・実刑判決など、事件の最終的な処分です。逮捕報道が真実であり、現在も社会的関心が高い事案であれば削除が認められないこともあります。一方で、不起訴になった、長期間が経過している、社会復帰しているという事情があれば、削除請求が認められる余地が広がります。

苦痛を感じるのは当然——だからこそ、正確な事実確認を

依頼者からすると、「名前が出ている」「顔写真が載っている」だけで強い苦痛を感じるのは当然です。

しかし、法的には、誰が・どこで・何を・どのように掲載しているのかを確認しなければ判断できません。

弁護士としては、まず証拠を確保し、掲載態様を分析した上で、次の対応の可能性を検討することになります。

  • 削除請求
  • 発信者情報開示請求
  • 損害賠償請求

感情論ではなく、事実関係の整理から始めることが、この種のインターネット上の権利侵害案件では何より重要です。