産業医の役割は、ここ数年で大きく変わっています。かつては、有害業務への対応や健康診断といった「医学的管理」が中心でした。しかし現在、とりわけ第3次産業においては、その本質は明らかに変わっています。今の産業医は、単なる医師ではなく、企業の法的リスクをコントロールする役割を担っています。
実際、現場で問題となるのは次のようなテーマです。
- ハラスメント
- 長時間労働
- メンタルヘルス不調
これらはいずれも、単なる健康問題ではなく、企業の「安全配慮義務」や「コンプライアンス」に直結する問題です。
Column
産業医の役割は、ここ数年で大きく変わっています。かつては、有害業務への対応や健康診断といった「医学的管理」が中心でした。しかし現在、とりわけ第3次産業においては、その本質は明らかに変わっています。今の産業医は、単なる医師ではなく、企業の法的リスクをコントロールする役割を担っています。
実際、現場で問題となるのは次のようなテーマです。
これらはいずれも、単なる健康問題ではなく、企業の「安全配慮義務」や「コンプライアンス」に直結する問題です。
私は弁護士であり医師でもありますが、この2つの視点を持つことで、見え方が大きく変わります。
医師としては、「この人は本当にどの程度しんどいのか」「就労可能か」を見ます。
一方で弁護士としては、「この対応は後に訴訟でどう評価されるか」「企業の責任が問われるラインはどこか」という視点で見ています。
多様な労働者への対応において重要なのは、個別の配慮だけではありません。その対応が、組織全体として合理的かつ説明可能かどうか——ここが最も重要です。
実務をやっていて強く感じるのは、産業医の価値は「面談の質」だけではないということです。むしろ本質は、どれだけ早く対応できるかにあります。
メンタルヘルスやハラスメントの事案は、初動が遅れるだけで一気に悪化します。
そして結果として、訴訟リスクが一気に高まります。
逆に言えば、適切な初動ができれば、多くの問題は紛争化せずに収まります。
産業医の役割は、単に話を聞くことではありません。
以下のような点まで踏み込んで判断できて初めて、企業にとって意味のある存在になります。
最近感じるのは、企業によって産業医の使い方に大きな差が出てきていることです。
この差は、そのまま紛争リスクと経営の安定性の差として現れてきます。産業医はコストではなく、適切に機能すればリスクを大きく下げる「投資」です。
これからの産業医に求められるのは、次のすべてです。
産業医の役割は、確実に次のステージに進んでいます。単なる医療職ではなく、企業経営を支える専門職としての位置付けが、今後ますます重要になると考えています。