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税理士の変更は理事長の独断ではできない

医療法人においては、理事長が「理事を総理し、法人を代表する」とされていますが、これはあくまで理事会の意思を執行する立場であり、理事会の決定権を代替するものではありません。

なぜ理事長単独では変更できないのか

定款に「税理士の選定は理事長が行う」との記載がある場合でも、それは日常的な業務執行を一任する趣旨にすぎず、理事長に独占的な決定権を与えるものではありません。

税理士の交代は、法人会計や経営方針に直接関わる重要事項であり、理事会の決議によって承認されるべき事項に該当します。

したがって、理事長が単独で税理士を解任・変更したとしても、その行為は理事会の承認がなければ法人として有効に成立せず、越権行為として扱われるおそれがあります。

理事会で正式に議題として上程し、過半数の賛成により承認を得たうえで契約変更を行うのが適正な手続です。

意見をとりまとめる調整役として

医療法人における理事長の職務は「独断」ではなく「総理」——すなわち理事会の決定をとりまとめ、法人運営を円滑に進める調整役であることが前提とされています。