弁護士業界には、まだまだ専門性の整理が不十分な面があります。
離婚、相続、交通事故といった分野を否定するつもりはありません。
これらは依頼者にとって非常に重要な事件です。
しかし、それらを「専門」と大きく掲げる一方で、医療訴訟や税務訴訟、知財訴訟のような本当に高度な専門知識を要する事件との違いが曖昧になっているとすれば、依頼者にとって分かりにくい状況です。
依頼者が弁護士を選ぶ際には、「何専門と書いてあるか」だけでなく、その弁護士が本当にその事件に必要な知識と経験を持っているのかを見る必要があります。
弁護士側も、自分の専門性を誇張するのではなく、どのような事件に強く、どのような事件では他の専門家と連携するのかを正直に示すべきです。
医師として医療界を見てきた立場からすると、専門性とは非常に重い言葉です。
専門と名乗る以上、その分野について責任を持てるだけの知識、経験、判断力が必要です。
弁護士業界でも、専門性という言葉をもっと重く受け止めるべきではないかと思います。
弁護士にとって大切なのは、何でもできるように見せることではありません。
依頼者にとって最も適切な解決を提供することです。
そのためには、自分の専門性を正しく示し、必要に応じて他の専門家と連携し、専門外の事件については無理に抱え込まない姿勢が必要です。
医療訴訟をはじめとする専門訴訟では、この姿勢が特に重要です。
専門性を軽く扱うことは、依頼者の利益を軽く扱うことにつながります。
弁護士業界における「専門」という言葉の使い方は、今一度見直されるべきだと考えています。