職場巡視や衛生委員会の議論は、従来「転倒」「設備不良」「長時間労働」といった”目に見えるリスク”が中心でした。
しかし近年、より深刻でありながら見えにくいリスクが浮上しています。それがデジタル環境下の見えない残業です。
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職場巡視や衛生委員会の議論は、従来「転倒」「設備不良」「長時間労働」といった”目に見えるリスク”が中心でした。
しかし近年、より深刻でありながら見えにくいリスクが浮上しています。それがデジタル環境下の見えない残業です。
今回の巡視でも、増築部分の床沈下や倉庫整理の問題が指摘されました。 これは典型的な「構造的リスク」です。放置すれば労災や転倒事故につながる可能性があり、早期補修が望まれます。
しかし同時に、より構造的で深刻な問題が議論されました。
これらは物理的証拠がなくても、労働時間認定や安全配慮義務違反に直結する可能性があります。
上司が深夜にメッセージを送る。 部下が即時に返信する。
形式上は「命令していない」と言えても、実態として業務指示と評価されれば労働時間に該当し得ます。
特に、以下のような事情があれば、「黙示の業務命令」と判断される可能性は否定できません。
デジタルログは証拠として極めて強力です。
“何も残らない”時代ではなく、“すべて残る”時代であることを前提に設計する必要があります。
衛生委員会では、身体疾患を抱えながら働く従業員への配慮も議題となりました。
今後は60歳以降の再雇用者が増加し、以下のような状況を抱えながら就労するケースが増えます。
ここで重要なのは、以下の3点をバランスよく設計することです。
単に「配慮しています」と言うだけでは足りません。
制度化し、記録化し、説明可能な状態にしておくことが、企業防衛の観点からも不可欠です。
法令上の設置義務を満たすための会議では意味がありません。
本来の役割は、以下にあります。
カメラ活用による客観記録や、巡視店舗数を減らして深く確認するという提案は、機能化に向けた前向きな動きといえます。
これからの企業に求められるのは、以下です。
✔ 物理的安全
✔ 心理的安全
✔ デジタル環境管理
✔ 記録と説明責任
安全衛生はコストではなく、経営の安定装置です。
トラブルが起きてから対応するのではなく、起きない構造を設計する。
それが、真に機能する衛生委員会の姿ではないでしょうか。