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整理表が「争点」を隠してしまう——医療訴訟で陥りやすい落とし穴

医療過誤訴訟では、「過失整理表」というものが作成されることがあります。これは本来、次のような事項を一覧化し、裁判所・当事者双方が争点を整理するためのものです。

  • どの行為が問題なのか
  • どの注意義務違反を主張しているのか
  • 相手方は何を認め、何を争っているのか

つまり、「複雑な医療訴訟をわかりやすくする」ためのツールです。

整理」のつもりが、かえって迷宮入りに

しかし、実務では、ときにこの整理表が、逆に訴訟をわかりにくくしてしまうことがあります。例えば次のような状況が生じます。

準備書面の文章を大量に転載し、説明・引用・評価・反論が延々と書き込まれ、結果として、「結局、何が争点なのか」が見えなくなってしまう

本来、整理表は”地図”であるはずです。

ところが、地図に情報を書き込みすぎると、今度は地図自体が読めなくなる。

これは医療訴訟でも非常によく起こります。

多数の論点が絡み合う医療訴訟の特殊性

特に医療訴訟では、次のような多数の論点が複雑に絡み合います。

  1. 注意義務
  2. 医学的根拠
  3. 因果関係
  4. 結果回避可能性
  5. 時系列
  6. 診療行為の評価

だからこそ、尋問前に「どこが本当に争点なのか」を明確に整理しておくことが極めて重要です。

争点整理が不十分なまま尋問に進むと、次のような問題が生じやすくなります。

  • 尋問が拡散する
  • 重要論点がぼやける
  • 裁判所の理解が散漫になる
  • 不要な応酬が増える

裁判所に伝わる整理表とはどういうものか

医療訴訟では、「とにかく大量に書けばよい」わけではありません。

むしろ重要なのは次の点です。

「何が核心なのかを、裁判所が一目で理解できること」

整理表は、”主張を書く場所”ではなく、”争点を見える化する場所”。

この視点を失うと、かえって訴訟全体が見えなくなってしまいます。