「泣いて馬謖を斬る」という故事成語があります。
三国志の名宰相・諸葛亮が、信頼していた部下・馬謖を軍律違反で処刑した逸話に由来します。
彼は才能を愛しながらも、組織の規律を守るために涙をのんで処断しました。
この言葉が示すのは、個人への情よりも、公の秩序や原則を優先する覚悟です。
現代の企業経営や組織運営においても、この「情と秩序」の葛藤は決して他人事ではありません。
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「泣いて馬謖を斬る」という故事成語があります。
三国志の名宰相・諸葛亮が、信頼していた部下・馬謖を軍律違反で処刑した逸話に由来します。
彼は才能を愛しながらも、組織の規律を守るために涙をのんで処断しました。
この言葉が示すのは、個人への情よりも、公の秩序や原則を優先する覚悟です。
現代の企業経営や組織運営においても、この「情と秩序」の葛藤は決して他人事ではありません。
現代でも、経営・組織運営・法務の現場では、似たような局面が頻繁に訪れます。
たとえば、長年の同僚が不祥事を起こしたとき、あるいは信頼していた取引先が法令違反をしたとき。
「ここだけは目をつぶってあげたい」と思っても、組織を預かる立場であれば、判断を誤れば信頼そのものを失います。
人を処分することは簡単ではありません。ましてや、長年の信頼関係があればなおさらです。
しかし、「情に流されること」は、結果としてより多くの人を傷つけることになります。
一度でもルールが形骸化すれば、組織は腐り始める。
その現実を知るからこそ、泣いてでも秩序を守る勇気が求められます。
弁護士として現場を見ていても、「早い決断を下せば救えた」事例は少なくありません。
感情を抑え、事実と原則で判断することは冷たく見えるかもしれません。
しかし、それはむしろ「組織を守る愛情のかたち」なのだと思います。
諸葛亮が涙を流したように、正しい決断はときに痛みを伴います。
けれども、その痛みを避け続けた先にあるのは混乱と信頼の喪失です。
私たちが見習うべきなのは、処罰の厳しさではなく、「泣いてでも正義を貫く覚悟」なのかもしれません。
こうした判断を経営者や管理職が一人で抱え込む必要はありません。法的リスクの評価、適切な処分の検討、再発防止策の構築——これらは専門家の知見を活用することで、より確実に、そして公正に進めることができます。
組織の秩序を守る決断に迷ったとき、ぜひ一度ご相談ください。