立退きによって発生するのは、主に次のような実損や新規支出です。
- 旧店舗の原状回復費用、廃棄費、運搬費
- 新店舗の敷金・礼金・仲介手数料・保証会社利用料
- 営業補償(休業期間の売上減少、利益喪失)
- 開業準備費(内装・什器・広告・看板設置費)
これらはすべて「費用」や「逸失利益の補填」であり、慰謝料や利益供与とは異なる法的性質を持ちます。
契約書上では、次のように整理するのが安全です。
「本補償金は、乙が本件明渡しに伴い負担する移転費用、営業補償、新規契約費用等を補填する目的で支払うものであり、慰謝料その他の性質を有するものではない。」
この一文で、立退き料=費用補填という位置付けが明確になり、法的にも税務的にも不要な誤解を防ぐことができます。
補償金の明細を以下のように具体的に列挙しておくと、より安全です。
- 移転費用(運搬費・廃棄費・原状回復費)
- 新規賃貸借契約費用(敷金・礼金・保証料)
- 営業補償(移転期間中の逸失利益)
- 開業準備費(内装・什器・広告等)
こうして「何を補うのか」を明記すれば、税務上も実費補填として整理しやすくなります。
受け取る側は「費用補填」として処理し、支払う側は「損害補償金」として損金算入が可能です。
双方にとって実務上も安定的な整理となります。