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「又貸し」で契約解除?賃貸物件の転貸リスクを正しく理解しよう

オフィスや店舗を借りた際に「このスペースを他の会社にも使わせていいのか?」という疑問を耳にします。一見すると単純なルールに見えますが、なぜこのような制限があるのか、違反するとどうなるのか、正確に把握している方は意外に少ないものです。

転貸禁止の本当の理由と違反時のリスク

多くの賃貸借契約書には、転貸(又貸し)や第三者利用を禁止する条項が設けられています。形式に関わらず、共同経営や名義貸し、営業委託といった実質的に他人に使わせる行為も含めて、原則として禁止されています。

その理由はシンプルです。建物の所有者や管理者は、誰が入居しているのかを正確に把握し、全体の秩序や安全を守る責任を負っているからです。もし契約していない第三者が勝手に使用してしまうと、防災や治安、他のテナントとの調和に支障をきたす恐れがあります。

さらに注意すべきは、違反した場合のペナルティが重い点です。多くの契約では、即時解除や違約金(数か月分の賃料相当)が定められており、決して軽い処分ではありません。「関連会社だから」「一時的だから」と軽く考えると、思わぬトラブルに発展しかねません。

どうしても第三者とスペースをシェアしたい事情がある場合は、必ず貸主の書面による承諾を得ることが安全です。承諾を前提とした契約修正や覚書を交わしておけば、後々の紛争リスクを大きく減らすことができます。

小さな条項が持つ大きな意味

何気なく見過ごしがちな「転貸禁止」の条項。実は契約全体の安定性を支える重要な仕組みであり、借主側にとってもリスク管理の肝になるポイントです。